野草とともに

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じゃのひげ(りゅうのひげ)

じゃのひげ(りゅうのひげ) じゃのひげ(りゅうのひげ,Ophiopogon  japonicus )はゆり科に属する多年生草本で 初夏に淡紫色の花をつけるが,これらは秋に なると美しい瑠璃色の種子となる。
この種子 は本当に美しいもので,それに魅せられた人 も多いと思う。私は長い間,この種子の美し さのみに心を奪われていて,これが,こんな 可憐な,美しい花をつけるということには気付いていなかった。
じゃのひげは庭や玄関脇 のし下植によく植えこまれているが,初夏の 或る日,ふと足をとめてみて,その美しさに 気付いた。長い間,気付かずにいて随分失礼 しましたという思いであった。 こうしたことから,この草に関心をもち,調 べてみると,その属名のophioは蛇,pogonは 髭を意味することからOphiopogonは文字どお り,じゃのひげ属ということになる。
この命名者のKer-Gawlについては,私自身あ まり、よく知らないが、和名のじゃのひげに そのままラテン語をあて属名にしたという可能性が強い。この植物の葉は細長い糸状をし ているのでそれから髭を連想するのはごく自 然であるように思われる。しかし果たして蛇に髭があるかというと妙な気分になる。髭にこだわれば、別名のりゅうのひげという方が理に叶う。龍は架空の動物ではあるが、日本や中国の龍の画を思い出せば明らかに髭がある。しかしドイツの Drache(龍)には髭がないというのは面白い発見である。

髭にこだわっていて次のことを思い出した。Regensburgを訪れてた時、そこのレストランでボーイさんにここの名物は何かと尋ねたところ、彼はドナウフィッシュだと答えた。
Regensburg はドナウ河畔にある古都である。更にドナウフィッシュとは何かと尋ねたところ,彼は魚の絵を描いて,その口のまわりに髭をつけ加えた。それはなまずであった。ドナウには体長1メートルにも及ぶ大きいなまずがいる。
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