野草とともに

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なぎなたこうじゅ Elsholtzia ciliata シソ科 Labiatae

なぎなたこうじゅ Elsholtzia ciliata シソ科 Labiatae 11月3日は統計的にみて好天気に恵まれ ることが多いが,私のフィールドノートによ れば1993年11月3日も快晴で----それ は丁度私の現役最後の年の秋であったが---- 数名のゼミの学生とともに六甲の高山植物園 に出掛けた。
ここへは一年の間に何回も訪れ ることにしているが,なかなかすべての植物 をものにすることはできない。

この日もいぬ たでやりんどうややくしそうやあきちょうじ やあきのきりんそうやせいたかあわだちそう やのこんぎくなども見たと記している。なぎ なたこうじゅは高山植物園のフェンスぎわや, オルゴール館から植物園へ通じる,やや湿気 の多いところに生えている。
このスケッチで は花はもう散りかけていてあまり残っていな いが,満開の時は紅紫色の小さい花が花穂の 片面に,まるで歯ブラシのように行儀よく密 集して並んでいて,花穂全体は少し反ってい る。薙刀という言葉を聞けば,私のような第 二次大戦中に中学生であったものにとっては, 当時女学生が鉢巻きをして薙刀に励んでいた 凜凜しい姿を思い出す。
こうじゅにはじゅの 字があてられていて漢方では全草を蔭干しに したもので“香JYU”という名前で,解熱,発汗,利尿剤として用いている。香じゅという名前から分かるように,これが強い香気をもっているということである。
今年(1998)の10月5日にも植物園へ行ったが,その時は満開で,いつもの場所にいつものように咲いていた。 そして今年は,珍しいことに植物園への途中の六甲小学校   の近くでつるにんじんが咲いているのを見つけて嬉しかった。 なぎなたこうじゅの属名のElsholtziaはプロイセンの医師Johann Sigismund Elsholtz(1623~1688)にちなんでつけられた。また種名のciliatus (a, um) は“細毛がある”という意味である。そういえばなぎなたこうじゅには茎,枝に軟毛が生えている。
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