野草とともに

野草とともに
  • べにばなぼろぎく
  • せりばおうれん
  • 野草の一覧へ

つるにんじん Codonopsis lanceolata キキョウ科 Campanulaceae

つるにんじん Codonopsis lanceolata キキョウ科 Campanulaceae つるにんじんは茎をつるのようにのばして根はチョウセンニンジンに似ているとして,この名前がつけられた。これはよく見られる草ではないが,私は今まで数回見ている。北海道では札幌の藻岩山,東北の天童市の旅館の裏庭,近畿では裏六甲,比良山などである。図鑑などでは北海道から九州に分布と書かれている。花期は私の経験から北海道では晩夏,近畿地方では秋と思っている。
この属名のCodonopsisはギリシャ語Kodonが鐘の意味で,Opsisは姿という意味で花が鐘の形をしていることを示している。比較的知られているキキョウの属名のPlatycodonでは,platysは広がったという意味で,口が広がった鐘を意味している。また,種小名の lanceolatus(a, um)は葉身が皮針形であることを示している。このスケッチは1993年10月9日に,比良山リフトの近くの林の中で見つけたものを画いたものである。花の様子を表現するのが難しいが,花弁の内側に紫褐色の斑点が並んで條のように見える。
同属植物にばあそぶ(C. ussuriensis)があるが,これは婆さんのそばかすという意味である。木曽の方言で,そばかすのことをそぶという。そこでつるにんじんのことを「婆そぶ」に対して「爺そぶ」という。これらの花はそれでもなかなか風情がある。婆そぶは爺そぶより希である。
つるにんじんには臭気があって,一寸食べられないように思われるが,この若葉は塩水で茹でて,水にさらして,酢みそ和えにすると結構食べられるということである。花も茹でると食べられ,塊根もきれいに洗って,水でさらして揚げ物として食べられるという。薬効にはチョウセンニンジンのような強壯作用はないとされており,根は虫毒などに対する解毒剤や去痰剤として用いられるという。この植物はサポニンを含むので,上記の使い方はうなづけるのであるが,そのサポニンについての詳細な研究はまだない。
  • べにばなぼろぎく
  • せりばおうれん
  • 野草の一覧へ