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こばんそう Briza maxima イネ科 Graminea
![こばんそう Briza maxima イネ科 Graminea](/images/yasou/y026.jpg)
もう今から35年も前のこと。仁川の友人 を訪ねた時,これが庭の片隅に生えていて, 小穂の形が小判に似ているので小判草と名づ けられたときいた。その時,面白そうな草だと思って,何時までも心の隅に残った。
その後それとなく気を付けていたが,これが群落 として非常に旺盛に繁茂しているところがあ ちこちにあることが分かった。
特に6年前, 琵琶湖の宮ヶ浜に行った時のバス道の両側に, これがビッシリ生えていたが,当に圧巻とも いえるほどであった。 ところがここ15年位前から,私が住んで いる宝塚逆瀬台のマンションの前に宝塚ゴル フ上があるが,そのフェンス沿いにこれが生 え出して,ついにはバス道沿いの安全ベルト 帯に植えられたアヴェリアの中にも逸出する ほどであった。
ところがこれを書いている平 成11年は,日本経済は正に不景気のどん底 に喘いでいるが,不思議なことに小判草が目 立たないではないか。念のためにフェンス沿 いを調べて見たが,その残骸すら見えない。
勿論,不景気が影響して小判草の生育が悪く なったとも思えないが,今年の不景気はそれ ほどまでに深刻だという象徴のように思えた。 小判草の名を教えて貰った時から,これは小判というより俵に似ていると思ったが,果たして俵麦という別名があることを知り納得した。
それに,これの近縁種に姫小判草(B. minor)があるが,ほとんど何時も小判草と混在して生えている。姫小判草も極めて好もしい草で琴瑟相和していて,一層好もしさが増す。いずれにしても,ドライフラワーにして室内に飾ってみたくなる風情である。
属名の Brizaは私のもっている英語,独語の学名辞典のいずれにも載っていないが,さすがに牧野の植物図鑑には,その付録の中に出ていて,これはライムギのギリシャ語を転用したものであるという。
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